数Ⅲの積分の応用のひとつに、回転体の体積を求めるものがあります。x軸やy軸のまわりに回転した図形の体積を求めるものが一般的です。
関数
をy軸のまわりに回転させる問題を考えるとき、
関数
が、単調な関数なら
として求められますが、増減のある関数ならば、y軸に垂直な断面が複雑になりますし、切断面の高さによって形が変わることもあり、積分するのにやっかいなことになる回転体の問題も、わずかながら出題されます。
このような場合、次のように積分して体積を求める方法があります。
これは、厚さのきわめて薄い同心円状の円筒を集めるイメージです。
なんとなく洋菓子の<バームクーヘン>を連想させるので、雑誌「大学への数学」などでは<バームクーヘン分割>と命名されておりますし、長岡亮介「本質の研究数学Ⅲ+C」(旺文社)では、<かつらむき>と命名されています。
ある日、図を描きながらこの考え方を女子生徒さん(県立御影高校)に説明をしていると、「とても薄いものを中心軸で巻き取って、それが体積というか嵩(かさ)になるのは、トイレットペーパーの感じじゃないですか!」と、ポツリと言いました。「なるほど!」
<バームクーヘン>といえば神戸のユーハイムで有名?でも知らない人もいるかも。<かつらむき>というのも、若い人には耳慣れない言葉かもしれません。でもトイレットペーパーなら、誰にでもわかります。
というわけで、「これからは<トイレットペーパー法>と命名しよう!」と、二人で盛り上がっておりました。
ところが一昨日、わたしが、荻野暢也「最高峰への理系数学」(代々木ライブラリー)を読んでいたら、回転体の体積を考える東大の問題のコメントに次のように書かれていました。
「…。これがいわゆるバームクーヘン分割(別名トイレットペーパー分割、年輪分割)です。…」
もうすでに、<トイレットペーパー>って使われていたんですね。いい名前を先んじて思いついたと思ったんですが、ぬか喜びでした。ガックリ〜(^_^;)