「解の公式」を忘れた京大生

 担当している高校生の男子は学年末テストがおわり、修学旅行に行きました。中学生の女子はテストの真っ最中です。

 僕は、雑誌「大学への数学」の問題をじっさいに解く日々です(^_^;) 2月上旬に、理系高3生が合格して以来、ハイレベルな問題を解く機会がなくなりましたからです。

 「数学の先生なのに、生徒と同じように数学を勉強するんですか?」と驚かれます。そうしないでも、いつでもバリバリ鮮やかに難問を解いて、しかも分かりやすい説明ができるといいのですが、残念ながらそうはいかないのです。1週間も数学から離れていると、式変形や計算のスピードが遅くなっているのがわかります。

 いま京都で建築設計事務所の所長をしている中学時代からの友人T君が、京都大学建築学科に入学したときのことです。その春、家庭教師を頼まれて中学3年生の数学を教えに行ったとき、2次方程式の問題を解くことになりました。「これは因数分解できないから、解の公式で解きますね」と言ったものの、2次方程式解の公式
x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
をすっかり忘れていて、呆然としてしまったことがあったそうです。大学入試が終わってやく1ヶ月しかたっていないのに、思い出せなかったのです。

 T君本人も愕然としたでしょうが、生徒さんも「こんな基本的な公式も知らないで、この人ほんとに京大生なの?」って思ったことでしょうね(^_^;)

 プロのスポーツ選手、プロの演奏家たち、みなさん毎日トレーニングや練習をされていると聞きます。そんな一流の人でさえそうなんですから、まだまだ未熟者のキノシタは、毎日数学に向かい合わないといけないのです。