高木貞治「数学の自由性」(ちくま学芸文庫)

 高木貞治先生の「数学の自由性」(ちくま学芸文庫

数学の自由性 (ちくま学芸文庫)

数学の自由性 (ちくま学芸文庫)

をパラパラと読んでいます。いろいろ面白いことが書いてあります。(というか、僕が物知らずだけなのかもしれませんけど…)
 たとえばこんな文章『いまの若い人が聞いたら驚くだろうが、僕らの時代には、すでに中学校で、教科書に英語の本を用いていた。大学の講義も英語本位であった。』
 ええっ!! 僕は若い人ではないけれど、驚きました! 英語の教科書で、英語で授業とは! 僕の英語力では、とてももじゃないけれど中学校はムリ。もちろん昔の中学校は、いまの中学とは違うとはいえ、昔の人はすごかったんですね。
 また、かの数学者ヒルベルト先生のエピソードとして『或る人が、類体論のことでそのレポートに不明解のところがあるからと、説明をもとめに行ったところ、ヒルベルト先生いかにも面白そうに話を聞いていたが、「一体誰がそんな類体論など言い出したのですか?」と訊いたという。先生ご自身が書かれたものなのであるが…』をはじめ、いくつか、天然呆けではないのかと思わせるような出来事が紹介されています。ヒルベルトという名前の響きから、なんとなくとても厳格で生真面目な数学者のように思っていたのですが、全然違っていました(^_^;)
 この本全体から、高木先生(1875−1960)の軽妙洒脱で自由闊達な雰囲気が、読む側に伝わってきます。