NHK総合「ディープピープル」を見て

 7月24日(土)夜、NHK総合の「ディープピープル」が放送されました。登場人物は3人の予備校講師で、英語の竹岡広信さん、国語の板野博行さん、数学の大竹真一さん。この業界ではトップクラスの人たちです。


 もちろん私の関心は、数学の大竹真一さんのお話しです。


 ポイントは「解法パターンの暗記などの受験テクニックではなく、数学の本質を学ぶことが合格への近道」「受験技術より論理的思考法を重視して指導」ということでした。


 まったくその通りだと思います。数学の勉強といえば「解き方を憶える」ことだと誤解している生徒は多くいます。(数学を教える人の中にもそのタイプの方がおられます)


 たとえば
『放物線y=x^2-4x+3と直線y=2x+mが接するとき、mの値を求めよ』
という問題に対して、


 「判別式Dが0より、m=-6です」
と答える生徒に、
「なぜ、判別式D=0なら接するの?」
と聞いてみると、
「接するときは判別式D=0としたらいいと憶えました。理由は分かりません。でも正しい答が出るからいいではないですか!」
と、言う生徒も少なくありません。


 このように、ただ単に「○○という問題には、□□というやり方で答を出せばいい」と、訳も分からず憶えているのです。


 解法のパターンや定石と言われてる手法を学ぶことは、決して否定されることではありません。ただし、それを支えている発想の根拠やなぜそう解けばいいのかという理由をしっかり理解しておかなくてはならないと思います。


 話を戻しますが、番組中「各大学の入試問題は、どんな生徒(その大学のいわば弟子になる人物)に入ってきてほしいかという暗黙のメッセージが込められている」というお話しが出てきました。いわゆる難関大学になるほど、科目を問わず論理的思考力が要求される問題が多いようです。


 数学で論理的思考力をつけさせるには、すぐに解き方を教えてしまうのでなく、生徒が試行錯誤しながらいろいろ考えるのをじっくり気長に待つことです。また、式の羅列になっている答案を、きちんと文の入った論理展開が明確であるようなものに書き直していくことも大切です。