最後のお弁当

 高校生は、期末考査の真っ最中。午前中で下校するので、お弁当は持っていきません。そして3学期になれば、通常授業ではなく午前中だけの特別時間割になる高3生も多いのです。つまり、この12月初旬が高3生がお弁当を持って登校する最後の時期になるわけです。


 先日、私の生徒F君(高3生)のお母さんが最寄りの阪急「苦楽園口」駅から私を自宅まで乗せてくださる車の中で、『きのう、学校帰りの息子を迎えに行った帰りの車の中で、いつものようにカラのお弁当箱を私に渡すんですけれど、そのときに改まった口調で「おかあさん、6年間美味しいお弁当をありがとうございました」と頭を下げてくれたんですよ』と、話してくださいました。


 この年頃の男の子って無口でぶっきらぼうというのが当たり前。特に親にはめったにしゃべりません。なのに、突然こんなことを息子から言われたら…。


 家族の仲がとても良く、おだやかで暖かい雰囲気のご家庭で育てられたF君。勉強よりもっと人間として大切なことを学んで成長していました。