べんきょうがわからん

講師として勤務している高校でのことです。授業中、ほかの科目のことが話題になり、現代国語は、詩を勉強しているとのこと。多感な年ごろの生徒たち、それぞれ好きな詩のことで話が弾んでいました。(数学の授業はどうなってるんや〜^^;)

しばらくたって「キノシタ先生はなにか好きな詩がありますか?」と質問の矢がいきなりこちらに。さらりと、西脇順三郎谷川俊太郎中原中也金子みすゞ三好達治さんの詩の1つでも諳んじてみせれば、「まぁ、かっこいい先生!」と株が上がるんでしょうけれど、とっさには浮かびませんでした(>_<)


そのとき、携行している指導記録(俗に言う「えんま帳」ですね)の余白欄に貼っている詩を思い出し、苦肉の策として、それを読み上げることにしました。


高知県さきちゃん(当時小学校4年生)の詩です。

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「べんきょう」

せんせい
あたしべんきょうがわからん
さんすうもこくごもわからん

きょうのこくごのテストも
ひっとつもできんかった
きょうりょく というかんじも
おねがい というかんじも
ぜんぜんわからんかった

ぜんぜんわからんき
おとがきこえんようにして
えんぴつをけずったり
けしゴムでなまえをけして
またかいて
またけして
ずっとしよった

チャイムがなってせんせいが
「もうだしなさい」
というたらほっとして
いそいでかくしてだした

いえにかえったら
「べんきょうしい」
とおかあさんはいう
おにいちゃんは
「アホ、バカ」
といっつもおこる
わたし
おかあさんとおにいちゃんがこわい

がっこうでも
だれもべんきょうおしえてくれん
かんじもすぐわすれるきやろうか
あたしがバカやきやろうか

けんどせんせい
あたしべんきょうがすきで
わからんけどすきで

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勉強がわからない生徒の気持ちを忘れないため、自戒として今年の指導記録に貼っていたのです。(思いつきで、毎年、貼るものは替えています)

読み終えると、ざわついていたそれまでの教室の空気ががらりと変わりました。