松永暢史「この国をダメにした学校教育」(主婦の友新書)

著者は約40年家庭教師として子どもと関わり、いろいろな学習法を開発されました。

教育とは、ただ単にテストでいい点数をとらせ、高い社会的地位に上るためにあるのでしょうか? 本書は、現代日本の「エリート」たちのインチキ性を批判し、それを育てた戦後教育を根本的に改革する試案を提示しています。

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●なぜ、この国のトップはリーダーシップないのか
 東日本大震災、続く東京電力福島第一原子力発電所の事故はこれまで多くの人が知らなかったもう一つの恐るべき事実を明らかにしてしまったようだ。それは「想定外」の事態が起きた時に、即断即決で行動してリーダーシップを発揮するはずの政治家、官僚といった人たちの対処能力が著しく劣ていることだ。

 危機対処においてリーダーに最も大切なのは、判断力と決断力であり、さらにはその先の再建のための創造性とヴィジョンであるが、これらも全くおぼつかないことがはっきりしてしまった。彼らはとりあえず判断より様子見をするのであり、自己決断の場に立っていることを強く意識はしないのである。彼らは地位に就く能力は充分あても、それを行使する能力は充分ではない人たちだったのである。ひょっとしたらそれは「歴史」をよく了解しない、リベラルアーツに欠ける人たちと言えるのかもしれない。

 加えて、必要な情報を伝えることが仕事であるはずのメィアも、いよいよはっきりその馬脚をあらわにしてしまったようだ。本来高学歴者で有識者の集団であるはずのメディアの多くは、自らの調査や観点としてではなく、政府などの発表をそのまま受け流すどころか「偽造」もし、しかも細かいことにやたらケチをつけるだけで、大所高所に立た建設的な提案が全く出せない。それなりに結構レベルの低い者が多い集団なのであった。広告収入等の比重が大きいために、大企業の批判もしっかりとできないこともいよいよ明らかになつてしまった。それころか彼らが、自ら政界財界企業広告会社と一体化した、全体組織の利益ために働く「部分」に過ぎないこともいよいよ国民の目の前にさらけ出してしまった。それも、もとより彼らにとっては「当たり前」のことであたろうが。

 さらに我々がもっと驚いたのは、科学者をはじめとする学者達の無能ぶりと厚顔無恥ぶりである。もちろん中にはどんなに足を引っ張られようが有為の発信をし続けようとする学者たちもいたようだが、彼らはなかば「異端」で、全体の中のく一部であったようである。多くは「精神のない専門家」たちで、自己の専門分野についてトータルで奥深い見識を持つのではなく、曖味な認識を多く抱えながら、所属する組織にとって有利で適当なことを口にする輩なのであった。

 翻って、私たちは見事に「洗脳」されていたと認めざるを得ない。原子力は安全だと。 反原発活動家の友人からは「ぼくたちはずっと洗脳されていなかったが、今は活動の不十分さを痛感しているよ」と言われる始末。私自身も、「物事に完全ということは無いではあろうが、万が一のことが起こっても、これだけ安全と言うのだから、せめてすにそれを解決するだけの準備と能力があるだろう」と信じ込まされていた。しかし現実は大きく異なっていた。1週間せめて1ヵ月あれば、止められると信じていた放射能漏れを止めることは、ほぼ1年が過ようとしている現在でも未だにできていない。「メルトダウン」してしまった後の対処マニュアルはなかったようなのである。それぞころか火急危険な事実を隠蔽し、その場しぎの言い訳を繰り返していたことが次々あからさまになるばかりである。

 さらには、過去において、彼らが危険性を想定する提案を握りつぶしてきたことなどの許しがたい事実もどんどん明らかになってしまってきている。

 政治家、官僚、メディア人、科学者学者 これらの人たちは皆、国民の多く自らの子もたちにそうなって欲しいと願う超高学歴者の集団である。東大を頂点とした学歴ヒエラルキートップに属する人たちである。しかし、この人たちの実態は、自分の仕事や立場に責任を持ち行動する人たちではなく、その身を利用して巧みに世を泳ぎ、その上自分には責任が来ないように、口先で誤摩化すのが上手い人の群れであったと言ってすらよいようだ。すなわち、彼ら超高学歴者の共通的特徴は、言葉で誤摩化すの上手い人たちということだったと言っても過言ではないだろう。彼らは試験ができるのであり、仕事に責任がある人たちではなかった。

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 一概に、高学歴者がみんなインチキ野郎だとは思いませんが、たしかに立派な肩書きをお持ちなのに、情けない・みっともない大人もおられます。

 試験ができても人間ができてなければ、教育としては失敗ですね。