「こういうときはこう解く」マニュアル暗記から脱却せよ

以前、ご紹介した「大人のための東大数学入試問題」(講談社)で、

著者の齋藤寛靖さんが、下の問題(1958年入試)の解説で述べておられることは、キノシタが思っていることでもあります。

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 実はこれは全然怖くない。何故簡単なのかと言えば、「係数が対称」だからで、与えられた連立漸化式の辺々を「足したり引いたり」するだけで、あっさりと等比数列になってしまうからなのである。
 ところがコレを受験生に解かせると意外にできない。できたとしてもなんだかえらく時間がかかる。というのも、式をよく観察してその特性を見ようとせずに「解き方」から入ろうとするからなのだ。「こういうときはこう解く」というマニュアルを思い出そうとして、実体が見えなくなってしまう。誰に仕込まれたのか知らないが、「数学はみんな解き方が決まっていてそれを覚えさえすればできる」 などというちょっとずれた考え方に支配されているから、「知識を使いこなす」 ためのセンスを持てずにつぶれてしまうのだ。
 確かに定石は重要で、知らないと解けないという問題も多いが、大切なのは「どの定石をどう用いるか」であって、それを見抜く「目」と「鼻」と「手」を持たねばならない。それは、ただ教われば身につくというものではなく、実際に問題を解くことで「自分でつかみ取る」ものなのだ。
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入試までの時間がどんどん少なくなっていき、焦る時期ですね。でも、整理された解法パターンを覚えるだけでなく、実際に問題を解くことを通して自分なりの解法を感覚的に身に付けて欲しいです。