あえて「やり方」を教えない!

高校の「数学I」で、習い始めにつまずくのが2次関数。このグラフを描くときにどうしても頂点の座標が必要になります。微分を知っていれば、その利用もいいですが、たいていは未習。したがって、以下のように「平方完成」することがお決まりの手法です。

この「平方完成」、うまくできない人が意外と多いです。

先日、少し空き時間が生じたので、阪急「西宮北口」駅近くの某無料塾(ボランティアで運営されています)に行ったとき、平方完成で悩んでいる高1の生徒さんがいました。

ついつい「xの係数の半分の2乗を加えればいいんです」と、やり方を教えがちです。生徒も「あっ!ほんとだ、先生のやり方でうまくできた〜」と、喜んでくれます。「簡単なやり方を教えてくれるいい先生だ」と思われてメデタシメデタシ。

でも、キノシタ先生、このやり方を教えません。たとえば、以下のような2次式の平方完成なら、□にいろいろな数字を入れさせて、展開してうまく元に戻るか、何回も試行錯誤させます。意地が悪いですね(^^;)

いきなり分数は、分かりにくい子には、xの係数が偶数の場合からゆっくり進めていきます。

いろいろ試していくうちに、「なんだ、こうやればいいんだ!」と、平方完成を作る方法を生徒自身が見いだします。

機械的にやり方を覚えさせても忘れたらおしまいですが、生徒が自分で体得したことはわすれにくく、忘れてもまた自分で作り出せます。

便利なやり方・解き方をどんどん教えて当面の成績を上げてくれる家庭教師の評判がいいのは当然ですが、本当の力を付けてくれているかどうかは?です。

この無料塾の高1生徒さん、10分くらいで下のような2次式もうまく平方完成できるようになって、自信がついたようです。よかった、よかった!