1次不定方程式の特解の見つけ方について、前回(2019-09-19)小さい方の係数で括り出す便利な方法をご紹介しました。
では、ユークリッドの互除法を用いる方法は知らなくていいのかと言えば、けっしてそうではありません。そもそも、ユークリッドの互除法の理解を深める応用例として1次不定方程式が取り上げられているからです。
と言うわけで、小さい方の係数で括り出す便利な方法では、ちょっとうまくいかない例をあげてみます。
小さい方の係数で括り出す方法を用いますと、
この式から
,
をパッと思いつける人は少ないでしょう。
やはり、教科書に書かれているようなユークリッドの互除法を利用した原則的解法は、身に付けておきたいですね。
223=72×3+7
72=7×10+2
7=2×3+1
したがって
1=7-2×3
=7-(72-7×10)×3
=7+7×30×-72×3
=7×31-72×3
=(223-72×3)×31-72×3
=223×31-72×93-72×3
=223×31-72×96
∴223×31-72×96=1
したがって、この方程式の解の一つは
,
です。
この特解を機械的に求める方法が「センター試験必勝マニュアル数学IA 2020年受験用」(東京出版)のp130に書かれています。(ちょっと古い版には載っていません。センター受験生は新しいのを買いましょう!)
ところで、全統マーク模試の生物で驚異の偏差値81(51873人中34位)だったN君は、次のような巧みな変形で
,
を求めました。
【N君の解】
ここまで来れば
,
であることは、容易に求まります。
これを解いて
,
ですね。
定型的な解法をなかなか身に付けてくれないN君ですが、少ない持ちネタでとことん考え抜く思考力は、将来なにかの研究畑に進んだときにきっと役立つでしょう。