中野民夫「ワークショップ」(岩波新書)

一方的に話を聞く授業・講演・セミナーと違って、「ワークショップ」は参加者が主体的に課題発見や問題解決などに向けて討議したり共に作業します。今ではその有効性が広く知られるようになり、すっかり定着しています。

この本が発行されたのは、およそ20年前。当時の様子が、次のように書かれています。

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「ワークショップ」とはまだまだ聞き慣れない言葉かもしれない。もともとは「共同作業場」や「工房」を意味する英語だが、ここ数十年の間に「先生や講師から一方的に話を聞くのでなく、参加者が主体的に論議に参加したり、言葉だけでなくからだやこころを使って体験したり相互に刺激しあい学びあう グループによる学びと創造の方法」として欧米から世界中に広がってきた。
 日本でもこの一〇年くらいの間に演劇やダンスや美術なの芸術分野、環境教育や国際理解教育、住民参加のまちづくり、コンピータソフトの使い方、からだとこころ、自己成長や癒し、企業研修、学術会議、NPOでの研修や講座など、学校教育や社会教育の枠をはるかに越えて様々な分で広がっている。あちこちで様々なワークショップの案内を目にするし、この言葉がタイトルに入った本もたくさん出版されている。新聞の催事案内でも「ワークショップ」という単語が入ったイベントがたくさんある。インターネットでキーワード検索すると数万件もヒットして、もうすべてに目を通すことはきないほど。さらに「ワークショップ」とは呼んでいないけれども、実質的にはワークショップ的な多くの体験学習や参加型の企画を入ると数え切れない。
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ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書)
 

 
著者の「ワークショップ」に対する評価はとても高く、その特徴をいろいろ挙げています。

......................... 引用 ...............................

ワークショップは説教臭くない。ワークショップは楽しい。ワークショップはわくわくする。ワークショップは感動と出会いがある。ワークショップは希望と勇気を生み出す.
ワークショップにはやすらぎや癒しもある。ワークショップには創造ど喜びがある。
こんな「学び方」「創り方」があるのなら、注目せるをえない。もちろん万能ではなく限界や注意すべき点もあるが、これまでのパラダイムの転換を迫られている私たちの社会の行き詰まりを打開する、ひとつの希望の道ともいえよう。
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学校の教師が、いわゆる対話型の授業を考えるときに、参考になる一冊だと思います。