今日発売の月刊誌「本の雑誌」3月号。
西村賢太さんの追悼コラムが載っていないか、目を通してみたがありません。
そりゃそうですね。2月5日に急逝され、そのころにはもうこの3月号は、印刷製本が終わってますから。
僕はほとんど関心がない分野の、いわゆる「私小説家」「無頼派」の作家さんです。
著書も一冊も読んでいません。
でも、毎月購読している「本の雑誌」に、日記形式の随筆「一私小説書きの日乗」を連載されていて、毎回これを楽しみにしていました。
今月号にも掲載されていて、12月14日から1月7日までの様子が書かれています。
たとえば、12月25日(土)はこんなふうです。
.................. 引用 ...............
午前十時起床。入浴。
日中、藤澤淸造資料の整理
夕方、染井の慈眼寺にゆき、芥川龍之介の墓参り。毎年恒例の、短編「年末の一日」気分を味わう。
帰途、巣鴨に出て寿司屋で飲酒。寒ブリのズリが美味。
夜九時前に帰室し、四時間ほど眠る。
再入浴後、少しく書き物作業
朝方五時半から、再晩酌。
宝を水割りで三分の一本。
納豆二パックと、カニ缶。
最後に蕎麦が欲しくなったが、茹でるのが面倒になったので割愛。布団に入る。
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文中の「藤澤清造」は大正時代に活躍した私小説作家だそうで、西村賢太さんは敬愛。
月命日には墓参りに行き、その作品の復刊にも力を注いでいました。「一私小説書きの日乗」には、頻繁に藤澤清造のお名前が登場します。
お亡くなりになるわずか1ヶ月前の日記を、わずか死後5日に読んでいる。なんだか不思議な感覚です。
来月号は、追悼特集を組むのでしょうか。