ひっくりかえさないで定積分で面積

グラフがyの負の部分にあるときのx軸とで囲まれる部分の面積を求めるのに、わざわざx軸に関して対称移動させて(ひっくりかえして)グラフをyの正の部分に書き換えてから求めている教科書の説明は、どうも変ではないかと思っています。

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積分で面積が求められることを生徒に納得してもらうのに、導入として下の図のような台形をサンプルに説明します。

オレンジ色の台形の面積Sは、算数を思い出して

 S=\frac{1}{2}(1+5)×2=6

です。

これを積分で求めるときの荒っぽいイメージは
よこ幅のとっても狭~い「短冊」というか「すだれ」「縄のれん」「クモの糸」
をいっぱい集めると面積になる、というものです。

短冊のたて長さは 2x-1 です。とっても狭~いよこ幅を dx で表すと、
その細長い短冊の長方形の面積は、
  (2x-1)dx
です。



これを、x軸に沿って1から3まで集めまくれば、オレンジ色の台形の面積になるわけです。

積分の記号を使ってこれを表せば
  \int_1^3(2x-1)dx
ですね。
 \int_1^3(2x-1)dx
[x^2-x]_1^3
(3^2-3)-(1^2-1)
=6

ここでポイントとなるのは細なが~い短冊の長さです。

長さは、短冊のy座標の大きい方から小さい方を引いたものになる

ということです。

教科書では、下のように面積を\int_1^3f(x)dx
と記しています。

キノシタは、教えるとき、細なが~い短冊の長さは
  (x^2+1)-0 (←x軸は y=0 ですから)
なので、面積は
  \int_1^3\{(x^2+1)-0\}dx

わざわざ「-0」 を書かせて積分させます。

例22のような(↓)、x軸より下にあるグラフの面積も、

細なが~い短冊の長さは、短冊のy座標の大きい方から小さい方を引いたものになるのですから、
その長さは
  0-(x^2-2x)(←x軸は y=0 ですから)
となります。(ここでも必ず「0-」を書かせます。)

したがって、求める図の面積Sは
 S=\int_0^2\{0-(x^2-2x)\}dx
です。

わざわざ、X軸に関して対称移動したり、∫記号の前にいきなり「-」を付けなくても、短冊の長さはどんな式で表されるかを考えれば、この後に登場する2つのグラフで囲まれる部分の面積公式もすぐに生徒は納得できるのです。