家庭教師のお仕事は、受け持った生徒さんの成績を上げること、そして希望する学校に入学させることです。
しかし、学校の目的もそれだけになるのはいいことなのか? 難関大学にどれだけ多く送り込むか、まるで予備校のような学校が子どもたちの成長にとってどうなのか、一概には言えません。
ただ、この本に書かれている教育への視点は、家庭教師といえども心のどこかに留めておきたいです。
- 作者: 堀尾輝久
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/09/22
- メディア: 新書
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能力主義と序列主義のとりことなった学校の再生は容易ではない。
私は能力主義の問題性を論じた別の論文の中で、 それをのりこえる教育の道筋をこう書いた。
「発達の初期から、友人とともに生き、ともに悩むおもいやりの心、共同の仕事をとおしての人間的交流(交通)と共感の能力、弱い者、障害をもつものへのやさしいいたわりの気持ち、そしてかけがえのない人間の自由と尊厳の意識を育てる教育、その平凡にみえて困難な仕事の成否に、教育の未来と人間の将来は賭けられている」。「……こうして、教育において、人間の価値意識の形成と変革が中心的課題となってくる。この仕事は教育だけでは果たせないが、それをめざす教育なしには、この大事業を、希望をもって語ることはできないであろう」。いまもこの確信は変らない。
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目の前の若者から、単なる勉強を教えてくれる人と思われるか、なにか教育に熱い心を持っているらしい人と思われるか、家庭教師だけでなく学校の教師にとっても大切なことだと思います。