今春、国立大学医学部に現役合格したT君から、久しぶりに近況報告の電話がありました。親元を離れての初めての下宿生活、どうしているのかと気になっていたので、元気な声をきいて安心しました。
中学高校はバスケットボール部に所属。朝練を欠かしたことがないほどバスケ命のT君ですが、大学の練習は高校の比でないほど厳しいそうで、「はじめて練習で足がつりました」と話していました。
また、中学生の家庭教師を始めたそうで、ちょっと困っているとのことです。「先生、因数分解ってどうやって教えたらいいんですか?」
聞けば、生徒はのような因数分解も分からないらしいのです。「これって となるのは分かり切ったことなのに、どうして2乗引く2乗って気が付かないのでしょう?」と、すこし戸惑っている様子です。
彼は、私立六甲高校(中高一貫の進学校)だったので、まわりの級友も理解の早い生徒ばかりだったので、そんな「簡単な」ところがどうして分からないかが、分からないのでしょう。
因数分解がうまくできない生徒には、因数分解の問題を何度も練習させる方法をとりがちです。それでうまくいく場合もありますが、それでダメなら僕が因数分解ができない生徒によく行うのは、因数分解の前に習う「式の展開・乗法公式」を丁寧に復習することです。
乗法公式も公式を機械的に暗記させる前に、公式の導出過程や面積図で図形的に意味づけたり、文字を具体的に数値に置き換えて公式の意味を確認させることをしっかり行っておきます。
そのうえで、式を見ただけで答が浮かぶようになるまで練習を繰り返します。たとえば、が間髪を入れずに答えられるようなれば、因数分解も頭に浮かぶようになります。
因数分解公式の前提となっている乗法公式の習熟こそ、因数分解が苦手な生徒にさせるべきことだと思います。
…というような話をして電話を置きました。
T君が初めての生徒さんを上手に教えて成績を上げてくれるよう、祈っています。