「因数分解を教えることが難しい」という相談に、僕なりの考えを話したことを前回書きました。もう少しやさしく言い換えると、こんなふうに例えられるでしょうか。
割り算の苦手な小学生がいます。「72÷8」や「36÷6」がなかなか答えられません。この場合、割り算のお稽古を繰り返すより、かけ算「8×9」「6×6」などをしっかり練習するほうが効果的なのではないかということです。
このとき「九九」を覚えさせることは必要ですが、「はっくしちじゅうに」「ろくろくさんじゅうろく」と言えるようになることと同時に、「8×9とは8+8+8+8+8+8+8+8+8と8を9回足すこと」とその意味をしっかり把握させておくことが大切だと思います。そうしておけば、うっかり「はっく……なんやったかな??」(←小学生時代のキノシタ)となっても、足し算で切り抜けられますからね。
数学における公式や定理は機械的に単に覚えるよりも、その意味する中味や導出過程をよく理解することが、数学の力を培うように思います。