「文系?理系?」(ちくまプリマー新書)

多くの高校では、2年生ですでに文系コース・理系コースに分かれています。その選択は、高校1年生の冬にはしなくてはなりません。

ややもすると、数学が得意か苦手か、程度の安易なレベルで決めてしまいがちになります。長い人生、たかだか16歳で、自分の人生の幅を狭めなくてもいいのでは?と思います。

志村忠夫さんの「文系?理系?」(ちくまプリマー新書)では、文理芸融合のすすめを説いています。

 

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 もう一度、私がここで強調しておきたいのは、「学校の試験の結果」や「学校の勉強の面白くなさ」などの消極的な理由で単純、安易に自分のことを「文科系」「理科系」に決めてしまったらもったいないということです。自分の大切な一生をより豊かに、より楽しく送るために、本当に自分が好きなこと(それは「学校の験の成績」と関係ないことが多いのです)を見つけていただきたいのです。
 私は、この本が、みなさんが 「本当に好きなこと」を見つけるための助けになってく
れることを祈って書いているのですが、実際にそうなってくれれば、著者としてそれに勝るび喜はありません。
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本題からは少し離れますが、地球温暖化二酸化炭素の関係について、こんなふうに書かれていて、おもしろいです。

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二酸化炭素で地球が温暖化?
 いま「周期的な太陽活動によて地球は寒冷化したり温暖化したりする」と述べましたが、ついでに、近年、すっかり「定着」してしまた感あります「二酸化炭素の増加→地球温暖化」説について簡単に触ておきましょう。
 地球温暖化に対する人々の関心が急速に世界に拡がったのは一九九〇年代以降のことで、その「地球温暖化」の主因は「人為的に排出されるC02の増加」だということになりました。
 そもそも、「C02の増加→地球温暖化」説なるものが喧伝されるようになったきっかけは、一九八八年、アメリNASAのジェムズ・ハンセンの「気温変動とC02濃度との関係」を示す報告でした。 一八世紀中頃の産業革命以降、化石燃料の消費量は増加の一途を辿ていますので、それに伴ない、地球大気中のC02濃度が一貫して増加しているのは事実です。また近、年地球の平均気温上昇しているのも事実です。しかし、長いスパンで気温の変動を見ますと二酸化炭素濃度に比例して上昇しているわけではないのです。事実、ハンセンが示したデータを見ましても  一九四〇~七〇年代は、気温下し続け、三〇年前は、世界中が「地球寒冷化」で騒いでいたのです。実際「地球温暖化」と比べれば「地球寒冷化」の食物などに与える影響は極めて深刻です。
それでは、「気温変化」の主因は何かといますと、それはほぼ一〇〇パーセント太陽活動の変化でしょう。そして、その太陽活動は、いま述べましたように周期的です。したがって、地球の気温も周期的に変化することになります。
 さらについでに「地球温暖化」の議論の中で、常に問題になります「温室効果」と「温室効果ガス」について述べておきましよう。
  まず「温室効果」についてです。
 人工的な環境下で野菜や果物、花などを栽培する温室はガラス、アクリル、ビニールなどで囲また閉鎖空間です。この「囲い」は太陽光の中の可視光線(いわゆる″虹の七色″の光)に対しては透明ですから、温室内部に達して温室内の空気や土や野菜などを暖めます。しかし、この「囲い」は、温室内で発生した熱(赤外線)に対しては不透明で熱を吸収して、その一部を温室内に送り返すという性質を持っています。つまり、温室内にこもった熱は外に逃げにくく、この結果、温室内部の温度外部より高くなって、野菜などが生育しやすくなるのです。つまり、このような「囲い」の効果が「温室効果」です。
 地球を囲む大気層の中のある成分は、ちょうど温室の「囲い」に相当し、地球に到達した太陽エネルギー(熱)を宇宙空間に逃にくくする「温室効果」を持ちます。ちなみに、大気の九九パーセントを占める酸素と窒素は「温室効果」をほとんど持ちません。
 このような温室効果を持つ大気層のある成分というのは水蒸気、二酸化炭素、メタン、オゾン、窒素酸化物、フロンなどで、これらをまとめて「温室効果ガス」と呼ぶのです。 もし、大気中に、これらの温室効果ガスが含まれなかたら、地球の表面温度はマイナス十八℃ほどになり、平均気温は三〇度ほど低下するといわれています。
 近年、二酸化炭素という「温室効果ガス」が「地球温暖化」の元凶のようにいわれていますので、温室効果ガスそのものが「悪者」扱いされているのですが、現在の地球に生存する、私たち人類を含むすべての生物は、温室効果ガスのお蔭で平穏な生活をさせてもらっていることを忘れてはいけません。温室効果ガスは地球上のすべての生命を育む不可欠重要な物質なのです。
 さて、いま列挙しましたさまざまな温室効果ガスがそれぞれ同程度の温室効果を持つか、といえそうではありません。じつは、温室効果のおよそ九〇パーセントは水蒸気の貢献といわています。また、大気中に占めるC02の割合は、水蒸気の一〇〇分の一ほどの○・〇二五パーセントです。このようにわずかなC02の増加が「地球温暖化」の主因になり得るのでしうか。私は、さまざまな科学的見地からも歴史的事実からも断じてあり得ないと思います。もちろん、地球の気温が上昇すれば水(特に海水)中のC02の大気中への放散が増加しますので、大気中のC02は増加しますが、C02の増加が地球の気温を上昇させるのではありません。地球の気温の増加が大気中の二酸化炭素C02濃度を増加させるのです。
 気温の変化を含め、地球の気候変化のほとんどは太陽活動に依存すると考えるのが妥当でしょう。
 だからといって、もちろん、私はC02の排出に無関心でよいというのではありません。
 有限の化石燃料の消費を極力減らし (そのことが結果的にC02排出量の低減につながります)、地球環境の保全に努力することは現代人が地球の将来のために負わされた当然の義務であります。
 しかし、「C02の増加→地球温暖化」のような科学的根拠のない「説」が暴走し(事実すでにかなりの勢いで暴走しています)「京都議定書」や「C02排出権売買」というようなものが、「国際政治の道具」として堂々とまかり通るとすれば、地球環境保全に禍根を遺すばかりではなく、日本のような、本来の外交理念も外交手腕も持たな「お人好しの国」が、つまり日本人がアメリカや中国に代表される海千山千の諸外国の「C02ビジネス」「環境ビジネス」に食い潰されてしまうであろうことを私は恐れるのです。
 マスコミの報道を鵜呑みにし、マスコミに振り回されることなく、ものごとを科学的に考える習慣をつけることも、さままな勉強の大切な目的の一つです。
 また、マスコミによって流されるニースの表層を追うだけではなく、その根底にある″根拠″を調べてみることも、さままな勉強を、具体的な形で楽しくさせる大きな要素です。勉強は「教科書」の中だけに留まていてはあまり面白くも楽しくもありませんが、それが私たちの実生活に結びつく時、面白さも、楽しさも格段に増すものなのです。
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常識とされているのとは、ちょっとちがった視点ですね。

そういえば、ずいぶん大昔、日本のあたりが亜熱帯だった時代があって、琵琶湖の辺りからは象の化石が発見されるとか。

そのころの地球の二酸化炭素の量はどうだったんでしょう?