考える力を育てる

家庭教師の力量のひとつに、どのタイミングでどのようなヒントを適切に示すことができるか、があります。


与えられた問題をまえに、生徒の鉛筆を持つ手がなかなか動かないと、ついつい口を挟みたくなりますね。


5分も手が動かなければ、さっさと「これはこう解けばうまくいくよ」と解法を伝えてしまうほうが効率的だ、という指導方法もあります。




先日、H君(高校2年生)が、下のような高校1年で学ぶ作図の復習問題に取り組んでいました。


10分近く問題とにらめっこ。僕は「ちょっとムリかも……、そろそろヒントを言おうかな」と思いましたが、H君の頭がフル回転している気配が感じられたので、もうしばらく待つことに。


20分ぐらいしてから、急に「なんや、簡単やんっ!」と、晴れ晴れした表情で、下のような作図法を示してくれました。同じ正三角形を上下に2つ描くだけのシンプルな方法です。

ちなみに出版社の解は下のようなものでした。H君のほうがスッキリした作図法ではないでしょうか。


「この問題はこう解く、あの問題はああ解く」と、つぎつぎ解き方を覚えさす指導法は効率的で、たしかに目先のテストの点数も上がります。


しかし、難問に対応できる考える力を養うためには、生徒の考える力を信じて辛抱強くじっくり待つことも必要です。そのバランスをどうとるのか、教師の力量が問われます。