映画監督の大森一樹さんが亡くなった。芦屋市立精道中学校の2学年下の後輩だ。私の同学年に彼のお姉さんがいて、中学時代からなんとなく顔見知りになった。
中1なのに、大きな体で目立つ。廊下ですれ違えば「あぁ、キノシタさん,,,」と、もごもごとした口調で挨拶してくれていた。
それから十年近く経て、彼が医大生になっていて映画も撮っているらしい、と噂で聞いた。
しばらくして、彼の映画「暗くなるまで待てない!」を観た。クレジットに監督「大森一樹」とあって、「ホンマや~」と感心したように思う。いまから、ほぼ五十年前の記憶だからあやしい。
それから、またずいぶん経って、娘が通う精道小学校の保護者会でバッタリ会った。大森くんの娘さんとぼくの娘が同級生だったのだ。
ときどき、わが家にも娘さんを連れて遊びに寄るようになった。自慢の自家製カレーを「あっ、これうまいわ~」と、ご機嫌でおかわりをしていた。
ある日、「君の本、買うたで」と『星よりひそかに』を見せると、「わぁ、ありがとう!」と言って、快くサインを入れてくれたのもなつかしい思い出だ。
それからも、たまに街で出会うと立ち話をたのしんだ。
芦屋市役所の広報誌「広報あしや」の一面には写真がある。その担当をながらく彼がやっていた。
ある日、「広報誌の写真のエキストラをやってくれへんか?」と、妻と娘の友だちに依頼があった。自転車に乗っているのがわが奥様で、まわりの子どもは娘とそのお友だちだ。
映画監督らしからぬ、文化人っぽくなく、インテリぶらず、そのへんのおっちゃんらしい彼の雰囲気が好ましかった。
まだ、70歳やないか。早すぎる。