算数や数学が苦手・嫌いという生徒さんには、その子なりのちゃんとした理由があるのです。
それを上手に伝えられる子もいれば、うまく表現できずにモヤモヤしたまま、気持ちが数学から離れてしまうこともありがちです。
そんな分からないことが重なると、だんだん自信を失い、数学嫌いになるのでしょう。
たとえば、を考えたときに、ある生徒さんはこう考えました。
「は2つの中に1つあることであり、は3つの中に1つあることである。だから、合わせて5つのなかに2つあることを意味するが答である。」と。
これに対して、おとなは「いやいやそうじゃないんだよ。通分して、正しい答はなんだ」と言うでしょうが、この生徒さんは「じゃ、なんで僕の答は間違ってんの??」と、納得いかないでしょうね。
生徒が抱く算数や数学のさまざまな疑問に対して、答え方は一律ではありません。「この質問にはこの答をすればいい」という一問一答形式にはなじまないのです。
その生徒さんの発達段階や理解力・思考パターンを見極めながら、納得できる説明をする必要があります。したがって、説明のしかたも多様にならざるを得ません。
上の分数の足し算の例は、蟹江幸博「数学の作法」(近代科学社)に書かれていたもので、小学校の先生から「どう説明するのがいいでしょう?」と投げかけられた質問でした。
教室の全員に納得のいく説明をするのは、プロといえどもきっと難しいのでしょうね。
いっぽう、僕のようにマンツーマン方式で指導するのは有利です。経験豊富で研究熱心な講師なら、生徒の表情や目の輝きの変化を見ながら、臨機応変にその子に合った説明の方法を使い分けることができるからです。