陽性率の入試問題(続)

前回、陽性率の入試問題の一例として、岐阜薬科大学の問題を紹介しました。このタイプは、ときどき出題されています。
ほかに出題例がないかと、そばにある数研出版「チャート式」(赤・青)、 

チャート式基礎からの数学I+A

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  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 啓林館「Focus Goold」をパラパラ目を通しましたが、載っていません。 

Focus Gold数学I+A―新課程用

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  • 発売日: 2011/03/01
  • メディア: 単行本
 

 
聖文新社「場合の数・確率の解法研究」に収録されているおよそ600題の中にも見当たりませんでした。残念! 

 

あきらめずに、古びた赤本をひっくり返すと、兵庫医科大学で出題されていました。

兵庫医科大学(2002年)
 狂牛病にかかつているかどうかを診断する検査法がある。すなわち、この検査に対して陽性であれば狂牛病にかかっていると判断され、陰性であれば狂牛病にかかっていないと判断される。この検査法は信頼すべきものであり、実際病気にかかっている牛を検査すればp の確率で陽性になり、1-p の確率で陰性になることがわかっている。また、病気にかかっていない牛を検査すれば、q の確率で陰性になり,  1-q の確率で陽性になることがわかっている。狂牛病にかかっている牛が確率rで存在するとして、以下の間いに答えよ。
(1) ある牛が、この検査で陽性になり、しかも病気にかかつている確率
(2) ある牛がこの検査を受けたとき、陽性になる確率
(3) この検査で陽性になった牛が、実際に病気にかかっている確率
(4) p=0.98, q=0.92, r=0.001 のとき,検査で陽性になった牛が、実際に狂牛病にかかつている確率は何パーセントになるか。
(5) (4)の確率が与えられているとき、10000頭の牛を対象にしてこの検査を行えば、陽性になる牛は何頭出ることになるか。


兵庫医科大学(2005年)
  ある病気を診断するための検査があり、検査で陽性になればその病気の疑いがあり、陰性になればその病気の疑いはない、と考える。この検査の有効性を調べるために、病院を訪れた人100 人を対象にこの検査を行い、さらに精密な診断によって実際に病気にかかっているかどうかを調べたところ、
(A) 検査で陽性になり、病気にかかっていた人8人
(B) 検査で陰性になったにもかかわらず、病気にかかっていた人は2人
(C) 検査で陽性になったにもかかわらず、病気にかかっていなかった人は2人
であり、残りの人は, 陰性で病気にもかかっていなかった。
 この調査結果をもとに、この検査が診断に有効であるかどうかを、理由をあげて説明せよ.


この年は、昭和大学医学部でも出題さていました。

昭和大学(2005年)
 ある疾病Aを検出する医学検査Bを考える。Bには陽性と陰性の2通りの結果だけがある。疾病Aの患者がこの検査Bを受けたとき陽性になる確率はa(0<a≦1)であり、健康者(Aの患者でないもの)がBを受けたとき陽性になる確率はb(0<b≦1)である。ある集団Xにおいて、疾病Aの患者がしめる割合をp(0<p≦1)とする。この集団から無作為に1人を抽出した。以下の問に答えよ。答および答に至る過程を解答欄に記入せよ.
(1) 抽出された人が検査Bを受けたとき陽性になる確率を求めよ.
(2) 抽出された人が検査Bで陽性であったとき、その人が疾病Aの患者である確率d+をpの式で表せ。
(3) 抽出された人が検査Bで陰性であったとき、その人が疾病Aの患者である確率d-をpの式で表せ。
(4) 検査Bは,疾病Aの患者が受ければ必ず陽性に出て、健康者(Aの患者でないもの)が受ければ30人に1人の割合で陽性に出るものとする。また,集団Xでは疾病Aの患者が100人に1人の割合で存在すると仮定する。このとき、d+の値を四捨五入により小数第2位まで求めよ。
(5) d+が0.5以上となるためにはa/bはどのような範囲になければならないか。pを用いた不等式により表せ。

 

もう少し探してみれば、まだ見つかるような気がします。