中沢孝夫「転職のまえに」(ちくま新書)

学者さんの説く観念的なお話しではありません。一人の労働者として仕事をしてそれなりに評価されるとは、また評価されるようになるにはどうすればいいのか、ハウツーでもなくお説教でもなく、解説されてます。

 

≪手抜きの目次録シリーズ≫

 

 

 

 

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 リスクがなくリターンだけが望める最大の投資は「自己への投資」である。どんどん知識を身につけ、新しい体験・経験を積み重ね、新たな出会いを糧にして、自分を大きくしていくことは、年齢と無関係に大切なことだ。そうすれば人は前に進める。転職や転換のまえにすべきことがやはりある。
 特に、三〇代、四〇代といた若さがあるうちはなおさらだ。気力も体力も充実した年代は自己投資をためらってはならない。人間の成長には「知らないところに飛び込む勇気」が必須だが、どのようなときにも、たじろぐことなく生きるには、人間としての中身)コンテンツ)が必要だ。

<学ぶチャンスを逃すな>
 勉強をすること。機会を見つけては学ぶこと。仕事に関わるセミナーなどには、積極的に参加すること。自分の仕事を深めて行くと必ず「他の仕事」とつながて来るものである。また、直接仕事に関わらないことでも、一般教養はどんどん身につける必要がある。もちろん小説を読む、あるいはさままなエッセイを読むだけでも、語彙が増えると表現力が豊かになる。それは話題が広がるということである。むろん本格的に政治、経済、歴史、哲学を学ぶのもよい。一人で取り組めればそれでよいが、可能なら少人数のセミナーで学ぶこと。
 もちろんよい本を読むことが必要だ。しかしよい本を読むにも努力が必要だ。とにかく自分を充実させること。優れた人間と出会うためには、自己を充実させておくことが必須である。率直なところ、バカはバカとしか出会えない。他人と交わるコンテンツがない人間に新しい機会は存在しない。それゆえ、会社の内外で学ぶチャンスがあったら逃してはならない。
 内外で、というのは社内のOJT(現任訓練)OFF・JT(職場外訓練)は命令がなくとも自ら手を挙げて、機会を逃してはならない。もちろん、会社内での勉強会なども大切だし、多くの会社で開催している仕事に関するセミナーなどには積極的に参加したは
うがよいのは当然だ。
 あるいは、もっと積極的に、自分のテーマを深めるために、商工会議所や行政が主催する各種の講習会に参加したり、職場の立地やさまざまな条件にもよるが、社会人を対象としたビジネススクールに入学するのもよい。そこにはたくさんの職場からさまざまな職種の人が集まっており、異なった経験を持ち、それゆえ異なた発想を持つ人たちの情報とヒントの集積の場と言ってもよい。
 そしてなるべくよい先生と出会うこと。よい先生はよい本を知っており、よい学び方を知っている。例えば「どんな本を読んだらよいでしょう」との質問に答えられない先生はよい先生ではない。よい先生かどうかは、それは世間的に有名かどうかではない。専門の世界で、どのような業績を持った「先生」なのかを見極める能力が必要だ。
 むろん、自分の知らない領域の場合「よい」「悪い」の判断ができない。そのときは「主催者」や「学校」の過去の経過の評価や、そこで学んだ人間からの情報が必要だ。蛇が尻尾を噛んでいるような説明になるが、それゆえ自分というコンテンツを広く、深くする時間を意識的につくることが必要なのだ。
 しつこいようだが、学ぶことにお金を惜しんではならない。生活がやっとだ、という人が多いのはわかる。しかし生活のために借金をするのではなく、自分への投資に借金をするのは危険ではない。お金は自分が成長すれば必ず返せる。心配などないのだ。お金を貯めてから勉強しようというのでは遅すぎる。その二つは両立はしないものだからだ。「蓄財」にしか関心がない人はこの本を閉じたほうがよい。お金や不動産という有形の資産はあとからついてくるものなのだ。
 特に三〇代後半、四〇代前半を全力で生きた(働いた)人間なら道は必ず開ける。その時代に過ごした困難と棘の道は、自らが成長するために必要な経過であたということが、あとから納得できるのだ。
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学生時代だけでなく、大人になっても学び続けなくてはならない、ということであります。大変だなぁ~!