生徒を生き生きと興奮させるのは先生の情熱だ!

NHK出版新書「知の逆転」を読んでいたら、こんな一文に出会いました。
サイエンスライター吉成真由美さんのインタビューに答えているのは、Oliver Sacksコロンビア大学精神医学教授)です。

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<生まれか育ちか? 遺伝子か教育か?> 

最も生徒を生き生きと興奮させるのは先生の情熱だ

-『タングステンおじさん』ではあなたに化学実験の面白さを教えてくれた叔父さんのことが懐かしく書かれていると同時に、寄宿学校でのみじめな経験のことも書かれていますね。
 ほとんどの産業国家における教育システムというのは産業目的に適した労働者を輩出するためにデザインされているので、その基準から外れた人は落ちこばれてしまうわけです。
 教育にとって最も重要な要素というのはどういうものだとお考えですか。そして、将来どのような教育あるいは教育ステム望ましいのでしょうか。


サックス 
重要なことは先生と生徒の間のポジティブな関係だと思います。そして、もちろん報情を教えることも重要ですが、最も生徒を生き生きと興奮させるのは、先生の情熱です。
 たとえ私の生物の先生から何よりもよくわれわれ生徒に伝わってきたのは、その先生がいかに自然や動物が好きか、どんなにそのことを話すのが楽しくて仕方がないかという、彼の情熱でした。
 これは大きな問題です。教育は消極的であってはならない。もっと積極的に好奇心や想像力、心の自立ということを刺激するべきだと思います。これらは全ての人に備わっている資質で、特に高い知能を必要とするものではありません。
 学校では単に解答が正しいか間違っているかといったようなことばかりを扱うのではなく、プロジェクトを与えたり、提案をするといった形での教育がなされるべきではないか。
ただ、想像力と自立を促すかたわら、授業時間に遅れないといったような基本となる組織体系も維持する必要があるわけですが。
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問題をどう解けばよいかを話す単なる「解答解説マシーン」ではなく、生徒たちに数学の面白さ・美しさを生き生きと感じてもらえるような先生であらねば、とこの本を読んで姿勢を正した次第です。