石浦章一「理数探究の考え方」(ちくま新書)

≪手抜きの目次録≫シリーズ。

今回は、石浦章一「理数探究の考え方」(ちくま新書)です。

 

 

プロローグには、こんなことが書かれています。

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 テレビ局が若者にインタビューしたところが放映されました。「あなたはこれからワクチンを打ちますか」という問いに対して「コロナに罹っても軽そうだし、何よりも副反応が出るのが嫌だから打ちません」、「ワクチンが安全といわれていたけど、ワクチンを打っても感染する人がいるとテレビが言っているから、ワクチンが信用できません」と何人かが答えていまた。

 実はワクチンを打っても感染する(ブレイクスルー感染)のは当たり前です。新型コロナが話題に上ってから2年も経っているのに、20歳の若者がなぜこの当たり前を理解できず、このような幼稚な考えにとりつかれているのでしょうか。もともとのフイザー社の研究結果では、4万人を調べて感染防御に約95%の効果があったと、報告されました。

 これは、4万人のうち95%である3万8000人に効果があって感染せず、2000人に効果がなく感染たという意味ではありません。2万人にワクチンを打ち、2万人に食塩水を打った結果、3か月後に後者では162人感染したが、前者のワクチンでは8人しか感染しなかった(だから95%に効果があった)という報告でした。最初から20人に1人の割合で必ずブレイクスル感染を起こす、ということが分かっていたのです。

 感染たのはワクチンが効かなかたのではなく
(1)ワクチンを打つ前に感染していた。
(2)ワクチンで抗体が大量にできる前に感染した。
(3)高齢者は抗体ができにくく、抗体ができてもすぐになくなっていたからそのあとに感染した。
という3つの可能性が考えられます。だからワクチンというのは、もともと完全には安全ではないのです。

 「ブレイクスルー感染」と報道して、さもワクチンが効かなかったように騒ぐのは、マスコミの無知か、またはわざとフクチンを打たせないようにしようとする意図があるか、ただ騒げば視聴率が上がるからと考えているか、のどれかです。
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「この探究が競争になり、あげくのはてに大学入試に使われるという本末転倒となったいきさつ(後略)」と書かれていますが、わたしも本末転倒だと思う一人です。