喜びよりも、長~いマラソンを走りきってゴールに倒れ込んだような心境です。三浪の末、N君をやっと医学部に合格させることができました。三浪は初めての経験です。
N君を始めて教えたのは、彼が中学2年の時。それまでの家庭教師から私にバトンタッチされたのは医学部合格を願ってのこと。おじいさんは医師、お父さんも開業医という家系です。
N君、神戸の中高一貫校に在学。いわゆる「自称進学校」で、難関有名大学への合格者がさほど多くいるわけではありません。医進クラスが1クラス設置されているとはいえ、そこからさえ医学部に合格するのはほんの数名です。しかも、N君その医進クラスにも入れませんでした。
医学部を目指すにしてはマイペース。家での勉強は学校の宿題をするだけ。日曜日は休業日、一切勉強はしません!と言い放ち、僕の課題もほとんどしないことが続きました。
高3になっても「自分なりに精一杯勉強している」とは言うものの、医学部を希望するレベルから考えると、おままごと勉強です。
もちろん、浪人。大手予備校に通うも、さほど気合いが入っていない状態でした。当然、合格校なし。本人も「まぁ、しゃないなぁ」と悔しさもあまりないようでした。
2浪めは、予備校を変更することに。ぼくも数校見学に同行し、大阪のメビオに決定。
ここは演習量が「ハンパない!」 それをクラスメイトが必死でこなしているのに刺激を受けたからか、5浪生・6浪生の存在を身近で見たからか、理由は定かでありませんが、ようやく彼の自覚が生まれた、と感じました。毎日10時間以上は勉強できるようになりました。
でも、医学部受験は甘くありません。結果は、1校のみ1次合格でした。
この悔しさをバネに3浪めに突入。僕が描く本格的な医学部受験勉強が毎日続きました。晩秋には「数学の力は、合格圏内に届いたな」と、確信できるまでになりました。
思えば8年間、長かったです。夜中に彼から電話がかかってきたこともたびたびでした。めげたり、気弱になったり、愚痴ったり。お母さんからも、わが子を心配するお電話が何回もありました。内心、僕がハラハラしたこともありました。
でも、昨年の秋頃からいわゆる「一皮むけた」感じになり、どことなく泰然として勉強をしているように思えてきました。厳しい受験勉強が彼を大人にしたと言えます。
そして、ようやく医学部合格です。それも、ダブルで!
3浪もさせて申し訳ない、と思う半面、勉強のお手伝いだけでなく、心のサポートやケアも最後まで行え家庭教師としての任務を全うでき、これ以上の喜びはありません。
辛く厳しい時期を乗り越え、初志貫徹したN君に心からの拍手をおくります!