『AI vs 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済)

関西で言えば、関関同立に合格できる性能に成長した人工知能「東ロボ君」で有名な新井紀子さんが、衝撃的な本を出しました。『AI vs 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済)です。

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 「はじめに」ですでに触れていることですが、結論を先に申し上げますと、日本の中高校生の読解力は危機的と言ってよい状況にあります。その多くは中学校の教科書の記述を正確に読み取ることができていません。

 なんだ中高校生か、と思わないでください。読解力というような素養は、ほとんど高校卒業までには獲得されます。特別な訓練を受ければ、大人になってからでも読解力が飛躍的に向上することはありますが、そうしたケースは稀です。
 
 日本の教育体系は、時代に対応して小さな変更は繰り返していますが、大枠では変わっておらず、今の中高校生が前の世代の人々と比べ突出して能力が劣るとは考えられせん。
 つまり、中高校生の読解力が危機的な状況にあるということは、多くの日本人の読解力もまた危機的な状況にあるということだと言っても過言ではないと思われます。
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「これはエラいことですよ!」(by ルーキー新一) 多くの日本人の読解力が危機的な状況にあるということは、私たちがさまざまな文章を読んでそれを正しく理解することができてない、っていうことですよね。キノシタ、おもわず「アカンやン!」とつぶやいておりました。

英語の教育をどうするこうするなんて、百年早いわ!! だって母国語ですら十分わからないんですから、もう致命的。どうしたいいんでしょう???

 
新井さんらの研究グループが、大学入試を終えたばかりの大学新入生に次の問題を課したそうです。
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【偶数と奇数を足すと、答はどうなるでしょう。正しいものに○をつけ、そうなる理由を説明してください】
A.いつも偶数になる
B.いつも奇数になる
C.奇数になることも偶数になることもある
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これって、このブログでもときどき取り上げている題材ですね。

<・2016-12-13「偶数の方が得!? 」 ・2017-02-10「「勘九郎ひとり語り」「九ハン十二チョウって知ってる?」」 >

さて、結果のデータが恐ろしい! 大学のランク別に、クッキリ差がついてます。文(日本語)を読んで、まともに理解できるのはほんの一握りでしかない国というのは、新井さんでなくとも危機的だなぁ、と思います。

ただ、新井さんのこの著書に対し、阿部公彦さんが『「読解力が危機だ!」論が迷走するのはなぜか?」で、別の観点から、やや冷静にこの問題を論じています。(「現代思想05」(青土社)) 

現代思想 2019年5月号 特集=教育は変わるのか ―部活動問題・給特法・大学入学共通テスト―

現代思想 2019年5月号 特集=教育は変わるのか ―部活動問題・給特法・大学入学共通テスト―

 

 計算ならスラスラできるのに、文章問題になると、まったくできなくなる生徒さんがいる私としては、この新井さんの本を一気に読んでしまいました。(僕も、正しく読めてるのかなぁ?)