関数の不定形とよばれる極限を求めるときに、巧妙な(?)式変形を思い付かなくても、分母・分子をそれぞれ微分すれさえすればOK!みたいな「ロピタルの定理」という便利なものがあります。
以前「ロピタルの定理」についてこのブログで書いたことがあります。
月刊「大学への数学」2018年6月号に名古屋大学の南和彦先生が「数学者はなぜロピタルの定理を嫌うのか」という記事を4ページにわたって書かれています。
このなかで「ロピタルの定理」を入試でつかっていのか?(←受験生の定番質問ですね)については、
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さて, 大学入試の答案で,解答を書 く際にロピタルの定理を使ったら減点されるであろうか.これは問題の他の部分との関係によって異なるので,一般的に何が起きるのか保証することはできないが,個人的な意見を言うなら,数学的に正しい定理を正しく使って正しい結果を得ているなら,減点する理由はない。 しかし,例えば極限を求める際に,何か工夫をして求めようとしたがミスをして結果が違う場合には,その工夫の部分に部分点を与えることができるが, ロピタルの定理をただ当てはめて間違えた場合には,その計算に部分点を与える余地はないのではないか.
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ということです。
この「ロピタルの定理」、大学の先生にはあまり評判がよくないようで、
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しかしこの定理を嫌う数学者は少なくない.私の知人のある数学者はロピタルの定理を嫌い, 自分の弟子がロピタルの定理を使ったら破門にすると言明している.また, ロピタルの定理について詳しく解説した上で,最後に「自分はこの定理は嫌いである」と書いて結論としている数学者もいる.また東大の教養課程で長く標準の教材として使われていた杉浦光夫氏の教科書 (「解析入門I」 (東京大学出版会))では, ロピタルの定理は本文では説明されず,練習問題として登場するのみである。
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破門されては、たまりませんね!
僕は、この定理を使ってもよろしい派です。ただし、キノシタ語録<自分で証明したことがない定理や公式は使わない>との原則はあるわけで、自分で納得できなければ便利であっても使わないでおきましょう。
それに、次のような不定形の極限値は「ロピタルの定理」を使っても、堂々巡りになってダメです。
基本的な求め方を身に付けておかないと失敗しますね。