大学入試でパニックに!

(前回の続きです)

『私は、入学した年の1年半くらいは、大学入試はまだ先のこととして高校生活を楽しんだ。しかし2年から3年に進級すると、私の高校生活も遂に灰色に変わった。 数学の成績はどん底に近く、英語や物理(特に力学)はさらに惨愴たるものであった。』

成績、すごいことになってますね!

『母親は、2年の終わり頃の保護者懇談会で担任にかなりひどいことを言われたようである。 1年間の成績の変動幅が200番 くらいだったから、 志望の大学とのあまりの隔たりに対し担任から言われた評価で母親はショックを受けていた。』

おそらく、学年全体で順位が200番くらい低下したのでしょう。

『しかし志望の大学を変更する気は全くなかったので、そのままマイペースで数学の勉強を続けた。3年になる直前の春休みに、私は数学(特にほったらかしになっていた数学I・代数)に没頭した。約10日間家から一歩も出ないで、解答しか載っていない薄い問題集を、わからない問題は3日かけてでも自力で解いた。  自分でも驚くほど顔色が青自くなった。英語にもほかの科目も見向きもせず、ひたすら数学(代数)の問題に取り組んだ。』

高校3年生になって、その効果は出たのでしょうか?

『それが功を奏してか、3年になってすぐの試験で数学だけは成績が良くなった。 けれども、あおりを食った英語は高3の1回目の試験でたった20点しか取れなかった。 その時点で英語はどん底まで落ちていた。 それでも数学に没頭していた。』

没頭できるのは、数学がちょっと面白くなってきたのでしょうね。

さて、高校生活も終わり、いよいよ大学入試。1963年(昭和38年)の3月で、まだ国立大学の入試日程に一期校・二期校があった時代です。(前後の文面から京都大学を受験されたと思われます)

『自信を持って臨んだ大学入試で、私は数学が出来ず茫然自失であった。 それは第1間にとてつもなく難しい問題が出され、パニック状態になってしまったからである。数学で稼いで合格しようと目論んでいた私の夢は無残に打ち砕かれた。そして半狂乱になった。』


(つづく)